実例で学ぶ公認野球規則 守備妨害(6.01a6)

2022年5月4日の広島 vs. 巨人でのワンプレイ。

無死一二塁で打者上本の打球はショートゴロ。一旦スピードを緩めたのち再び加速した二塁走者・九里と丁度打球を捕球したタイミングのショート・湯浅が衝突。
守備妨害が宣告されて二走九里がアウト、一死一二塁で再開された。

このプレイに対し、併殺にすべきだったとの意見がちょくちょく見受けられた。公認野球規則では以下のように記されている。

6.01 妨害・オブストラクション・本塁での衝突プレイ
(a)打者または走者の妨害
(6) 走者が明らかに併殺を行なわせまいとして故意に打球を妨げるか、または打球を処理している野手を妨害したと審判員が判断したとき、
審判員はその妨害をした走者にアウトを宣告するとともに、味方のプレーヤーが相手の守備を妨害したものとして打者走者に対してもアウトを宣告する。
この場合、ボールデッドとなって他の走者は進塁することも得点することもできない。

公認野球規則

「走者が明らかに併殺を行なわせまいとして」いた場合は併殺となる。判断が難しいのは”明らかに”の部分。
主観になるが、”明らかに”はかなりの根拠がないと審判としては認めづらいと思う。

今回は打球やショートに露骨に当たりに行ったようには見えないので、”明らかに”とは判断しなかったのだろう。
加速の部分も後ろのショートが頭に入っておらず、打球に当たらないタイミングで加速しただけだと思われる。

また、打球が強くなかったため6-4-3の併殺が獲れたかどうか微妙という点も考慮された可能性がある(二走にタッチできれば併殺は獲れそうだが…)。規則には併殺を獲れそうな打球かどうかは記載されていないが、ここは審判の常識的な考え方になってくる。

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