「時機を得たしかも正確な送球」とはなんなのか?

公認野球規則 野球
公認野球規則

一塁走者・梅野のディレードスチールに対し、楽天の捕手・田中貴也はほぼ二塁ベース上へ正確に送球。しかし、ベースにだれも入っていなかったため送球は三塁に抜け、梅野の三進を許した。記録は盗塁+田中の失策。田中にとっては不運な記録となったが、本当に捕手に失策を付けて良いのだろうか?

公認野球規則9.12(a)(8)には以下のように記載されている。

時機を得たしかも正確な送球を野手が止め損なうか、または止めようとしなかったために、走者の進塁を許した場合には、その野手に失策を記録し、​送球した野手には失策を記録しない。もしそのボールが二塁に送られたときには、記録員は二塁手または遊撃手のうちのどちらかがその送球を止めるはずであったかを判断して、その野手に失策を記録する。
「原注」野手が送球を止め損なうか、止めようとしなかったために、走者の進塁を許したが、その送球が時機を失したものと記録員が判断した場合には、このような送球をした野手に失策を記録する。

公認野球規則(2021年版)

また、2012年発売の『日本野球連盟の公式記録完全マニュアル』には、上記の規則の例として以下のような記述がある。

[例]一塁走者が盗塁を企てた。捕手は二塁ベース上にタイミング良く正確に送球したが、誰もベースカバー上に入らず、送球は中堅に抜け走者は三進。記録員は、守備布陣などから遊撃手が送球を止めるはずであったと判断すれば、遊撃手に失策を記録する。

日本野球連盟の公式記録完全マニュアル 公式記録に関する規則について(参考資料)P20

今回の例と同じと言っていいだろう。ポイントは「時機を得た」「時機を失した」の考え方。時機とは何なのか調べてみると、

時機(読み)じき
① ある事を行なうのに適当な機会。時宜。機会。チャンス。

https://kotobank.jp/word/%E6%99%82%E6%A9%9F-517570

個人的な解釈としては、公認野球規則による時機=アウトにできるタイミング(チャンス)。よって、時機を得たしかも正確な送球は「アウトにできるタイミングでしかも正確な送球」となる。今回の送球は捕っていればアウトのタイミング。前進守備等ではないので、守備布陣的にも問題ない。よって、時機を得たしかも正確な送球に該当すると思うのだが、どうだろうか。

ディレードスチールだと二遊間の判断が遅れて二塁カバーが遅れても良いという考え方なのだろうか。そうだとすれば捕手はディレードスチールに対して送球したくないだろうなあ。

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