オリックス・福田周平のサヨナラバントについて、スリーフィートではないかという意見があった・ネット上の流れとしては以下のような感じ。
①福田スリーフィートオーバーじゃね?(スリーフットレーンを出ているからという意見も多数)
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②スリーフットレーンは関係ない、タッグプレイが生じるタイミングからスリーフィートなので福田はオーバーしていない
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③収束しかけたところで坂井氏は自分ならアウトと判断とツイート、note投稿
自分も坂井遼太郎氏の考え方と同じでアウト。何故そう考えたのかまとめていく。
公認野球規則をベタ読みすれば、セーフ濃厚
まずは公認野球規則の該当箇所を見ていこう。
5.09 アウト
(a)打者アウト
(11)一塁に対する守備が行なわれているとき、本塁一塁間の後半を走るに際して、打者がスリーフットラインの外側(向かって右側)またはファウルラインの内側(向かって左側)を走って、一塁への送球を捕らえようとする野手の動作を妨げたと審判員が認めた場合。この際は、ボールデッドとなる。
ただし、打球を処理する野手を避けるために、スリーフットラインの外側(向かって右側)またはファウルラインの内側(向かって左側)を走ることはさしつかえない。
(b) 走者アウト
次の場合、走者はアウトとなる。(1)走者が、野手の触球を避けて、走者のベースパス(走路)から3フィート以上離れて走った場合。
公認野球規則
ただし、走者が打球を処理している野手を妨げないための行為であれば、この限りではない。
この場合の走者のベースパス(走路)とは、タッグプレイが生じたときの、走者と塁を結ぶ直線をいう。
まず、スリーフットレーンについては基本的に「一塁送球」に対してのものだとわかる。今回は一塁手が捕球、タッグという流れなので該当しない。
ということでスリーフットレーンとは関係なく『起点』からスリーフィート離れたかどうかが焦点になるわけだが、『起点』はタッグプレイが生じたときと記載されている。
公認野球規則による『起点』は一塁手捕球~捕球後タッグへ向かうあたりになるだろう。
『起点』で福田の右足はスリーフットラインファウル側あたりに位置しているため、ファウルラインから6フィートファウル側がスリーフィートギリギリということになる。動画を見る限りそれは超えていない。
走路は無制限に「タッグプレイが生じたとき」ではないのでアウトでは?
ただ、自分(や坂井氏)は『走路』は無制限に変えて良いとは考えていない。野球審判員マニュアルにはラインアウトについて以下のような記載がある。
従来は、塁間を結ぶ直線を中心に左右3フィートの地帯を通常走路と定義づけ、走者がこの走路外にいたときに触球プレイが生じた場合、走路から遠ざかるようにして野手の触球を避けたときは、ただちにアウトとなっていた。
野球審判員マニュアル第4版 69P
しかし、2008年に、走者がやむを得ず膨らんで走っている時に触球プレイが生じた場合、走者と塁を結ぶ直線を中心に左右各3フィートがその走者の走路と変わった。
あくまでも塁間が通常走路であり、走者と塁を結ぶ直線が『例外走路』となるのは走者がやむを得ず膨らんで走っている時に限られる。
「やむを得ず」の詳細については書かれていないが、個人的な感覚でいうと↓の3つあたりが該当する。
・「打球を処理する野手を避ける行為」<公認野球規則5.09(a)(11)>
・「走者が打球を処理している野手を妨げないための行為」<公認野球規則5.09(b)(1)>
・直線的に走るとかえって遅くなるベースランニング
今回の福田はいずれも該当しないと考える。「打球を処理する野手を避ける行為」と解釈する意見もあるが、今回の打球はラインギリギリとまではいえず、通常走路にいても野手を妨害することはないだろう。
今回のケースは走り出しの場面ではスリーフットレーンの延長線上におり、タッグプレイ(触球プレイ)が生じる前から徐々にファウル側に移動している。
以上より今回は「やむを得ず」のケースに該当せず、走り出した際の福田の位置が走路の起点。そこから考えるとスリーフィートオーバーしているのでアウト、というのが個人的な解釈である。
大切なのは今回のプレイに対して自分の解釈を考え直すこと
ただこれは公認野球規則の解釈的な話になってくるので、「これが正解」といえるものではない。
大切なのは「セーフ派」「アウト派」双方の意見を見た上で自分なりの結論を出すことである。
今回は坂井氏のツイートをRTする人はいても、自分なりの結論を出す人が少ないのが残念だった。ぜひ再考して欲しい。
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