走塁妨害は走者を「妨げる」行為に対してであり「接触」に対してではない…はず

公認野球規則 野球
公認野球規則

10月2日の阪神中日戦で面白いプレイがあった。

 中日の堂上直倫内野手が頭脳的なプレーでピンチ拡大を防いだ。
 3点ビハインドの8回1死一塁。先頭で出塁した俊足・中野が二盗を試みた。捕手のA・マルティネスの送球は、二塁ベースのはるか上にそれた。
瞬時に捕球できないと判断した堂上は、二塁ベースにスライディングしてきた中野に空タッチ。
このトリックプレーに対し、中野はしばらく状況を把握できず、ボールは中堅まで転々とするも三塁に進むことができなかった。

【中日】堂上直倫、頭脳的プレーで中野の三進防ぐ

このプレイに対して一部から走塁妨害でないかという声が挙がっている(タッチの動作が中野に触れているかどうかは微妙だが、今回は触れているものとして考えていく)
公認野球規則によると「オブストラクション」は以下のように記載されている。

定義51 OBSTRUCTION 「オブストラクション」(走塁妨害)
野手がボールを持たないときか、あるいはボールを処理する行為をしていないときに、走者の走塁を妨げる行為である。

【原注】本項でいう “野手がボールを処理する行為をしている” とは、野手がまさに送球を捕ろうとしているか、送球が直接野手に向かってきており、しかも充分近くにきていて、野手がこれを受け止めるにふさわしい位置をしめなければならなくなった状態をいう。
これは一に審判員の判断に基づくものである。

2021公認野球規則 P 199

今回の堂上直倫のプレイは「悪送球でボールを処理することが不可能だとわかっている」ため、”野手がボールを処理する行為をしている”には当たらないと思われる。
通常のプレイは大半が「ボールを処理しに行った結果の接触」であるため、他のプレイとは切り離して考えていくべきだろう。

公認野球規則を読んで意外だったのは「接触(衝突)」ではなく「妨げる」という定義になっている点だ。これは公認野球規則6.01(h)オブストラクションの項も同様である(注では衝突という言葉が使われているが、これは例えば~という文言があるためわかりやすい例を持ってきたと思われる)。
つまり、接触=走塁妨害とはならないわけだ。今回の場合堂上の接触によって中野がバランスを崩す等の不利益を被っていない。あくまで中野が三塁進塁が難しいと誤認しただけである。
よって走塁妨害には当たらないというのが個人的な解釈。

審判員ではないので、必ずしも正しいとは言えないのであしからず…。

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