大城の↓の打球(2:00~)。
当初は広島の一塁手・マクブルームのエラーと記録されていたが、試合から6日後の25日に安打に訂正。打点も0から1に訂正された。
打点について
当初は打点0だが、これは失策を記録していたとしても誤りだと思う。NPB公式のコラムが今回と同様の事例でわかりやすい。
難しいのは(3)です。ここで突然ですが皆さんに問題を出します。
【問】一死一、三塁で打者は三塁へのゴロを打つ。三塁手はこれを後逸し、記録は失策。さて、打者に打点は記録されるかどうか?答えは、「状況判断による」です。いじわる問題ですみません。
【記録員コラム】実は難しい打点の判断 2018年9月20日
このような場合、三塁走者、および三塁手の動きや位置から、公式記録員が打者に打点を与えるかどうかを判断します。
三塁手がもし捕球し本塁へ送球していたとしても、三塁走者のスタートや位置からして本塁はセーフだったと見れば打点を記録します。逆に本塁はアウトだったと見た場合や、そもそも三塁走者が三塁手の後逸を見てから本塁へ向かったのであれば、打点はなしです。
また、このケースでは一死一、三塁なので、三塁手は一塁走者と打者走者の併殺を狙うことも考えられます。三塁手が予め併殺狙いで明らかに三塁後方に守備していて打球を後逸した場合は、三塁手は捕球していたら二塁へ送球していただろうと判断すれば打点を記録します。記録員は原則、一つのプレイで二つのアウトが取れただろうとは考えないので、併殺が完成していたとは見ずに、一塁走者の二塁封殺の間に三塁走者が得点したと見るからです。
ポイントは「走者が失策を見てからスタートしたかどうか」「失策がなかった場合本塁に投げていたかどうか、投げた場合アウトだったかどうか」の二点。
今回は満塁でゴロなので走者は失策関係なくスタートを切っている。
また、カメラが切り替わった時点ではマクブルームが一塁ベースより後方にいたためシフトとしてはセカンドゲッツー。本塁でアウトにできるならファウルを期待してわざわざ打球をスルーするはずないので、失策がなかったとしても本塁セーフと考えるのが自然だろう。
よって、記録が失策だとしても打点1を記録すべきである。
失策/安打について
失策か安打かについては公認野球規則を見ていこう。
9.12 失策
(1)打者の打撃の時間を延ばしたり、アウトになるはずの走者(打者走者を含む)を生かしたり、走者に1個以上の進塁を許すようなミスプレイ(たとえばファンブル、落球、悪送球)をした野手に、失策を記録する。
ただし、0アウトまたは1アウトのとき、三塁走者がファウル飛球の捕球を利して得点するのを防ごうとの意図で、野手がそのファウル飛球を捕らえなかったと記録員が判断した場合には、その野手には失策を記録しない。【原注2】 次のような場合には、記録員が失策を記録するにあたって、野手がボールに触れたか否かを判断の基準とする必要はない。
公認野球規則
平凡なゴロが野手に触れないでその股間を通り抜けたり、平凡なフライが野手に触れないで地上に落ちたようなときには、野手が普通の守備行為をすれば捕ることができたと記録員が判断すれば、その野手に失策を記録する。
たとえば、内野手の横をゴロが通過したとき、その内野手がその守備位置で普通の守備行為をすれば走者をアウトにできたと記録員が判断すれば、その内野手に失策を記録する。
【原注3】 頭脳的誤り、または判断の誤りは、失策と記録しない。ただし、特に規定された場合を除く。
頭脳的誤りが実際のミスプレイにつながった場合には、その野手に失策を記録する。たとえば、野手が第3アウトと勘違いして、ボールをスタンドに投げ入れたりマウンドに転がしたりして、走者の進塁を許したような場合である。
まず、「ボールに触れてないのに失策はおかしい」という意見は【原注2】によって否定される。まあ、フライのお見合いの場合なんかは【原注2】を適用しないケースが多いが…。
だからと言って失策が正しいかと言うとそうではない。【原注3】に頭脳的誤り(判断の誤り)は失策と記録しないとされているからだ。
今回の見送りは「ファウルになる」と判断してのプレイなので、頭脳的誤り(判断の誤り)と言える。
後段には「実際のミスプレイにつながった場合は失策を記録」と書かれている。
……実際のミスプレイとはなんなのか?正直よくわからない。
「打者走者をアウトにできる打球をあえて見逃した」というのはミスプレイに該当するという解釈もできそうだが、公式記録員が熟慮の末ミスプレイとみなさなかったのでそれで正しいのだろう。
おまけ:訂正まで6日もかかるのは珍しい
公式記録の後日訂正自体はたまに起きる事例だが、6日かかったのは非常に珍しい。
自分がおっている限りで今までの最長間隔は4日。翌日訂正がほとんどの印象。
もしかしたらNPBご意見箱に異議申し立てをすれば通るのかもしれない…。
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