4月3日の↓のプレイ。記録は佐藤龍世のショートゴロである。
このプレイは「安打」「凡打(野手選択により打者走者は出塁)」「失策」の3通りが考えられる。
該当しそうな公認野球規則の部分を見ていこう。
9.05 安打
(b) 次の場合には安打を記録しない。
(1) 打者の打球で、走者が封殺(フォースアウト)されるか、または野手の失策によって封殺を免れたような場合。
(2)略
(3) 打球を扱った投手、捕手または内野手が、次塁を奪おうとするか、元の塁へ帰ろうとする先行走者をアウトにした場合、あるいは普通の守備でならアウトにできたにもかかわらず、失策のためにアウトにできなかった場合には、打者に安打を与えず、打数1を記録する。
【注2】 本項でいう内野手とは、内野手が普通の守備範囲内で守備した場合だけを指し、内野手がその守備範囲を超えて外野で守備した場合には、内野手とはみなさない。(4)打者が一塁でアウトになるだろうと記録員が判断したとき、打球を扱った野手が先行走者をアウトにしようとして行なった送球または触球行為などが不成功に終わった場合。
(5)略9.12 失策
(1) 打者の打撃の時間を延ばしたり、アウトになるはずの走者(打者走者を含む)を生かしたり、走者に1個以上の進塁を許すようなミスプレイ(たとえばファンブル、落球、悪送球)をした野手に、失策を記録する。
【原注1】 はっきりとしたミスプレイをともなわない緩慢な守備動作は、失策とは記録しない。たとえば、野手がゴロをきちんと処理したものの、一塁への送球でアウトにできなかった場合、その野手には失策を記録しない。【原注3】 頭脳的誤り、または判断の誤りは、失策と記録しない。ただし、特に規定された場合を除く。
投手が一塁ベースカバーに入らないで打者走者を生かした場合、投手に失策を記録しない。野手が間に合わない塁へ不正確な送球しても、失策を記録しない。(3) 野手がゴロを捕るか、送球を受けて、一塁または打者走者に触球すれば十分アウトにできたにもかかわらず、触球し損じたために打者走者を生かした場合には、その野手に失策を記録する。
(d) 次の場合には失策を記録しない。
(4) 野手が、ゴロをファンブルするか、インフライトの打球、送球を落とした後、ただちにボールを拾って、どの塁ででも走者を封殺した場合には、その野手には失策を記録しない。
【注2】 送球を受けた野手が、塁または走者に触球すれば十分アウトにできたにもかかわらず、触球し損じたために走者を生かしたが、ただちに他の塁に送球して走者(打者走者含む)を封殺した場合にも本項を適用する。
28 FIELDER’S CHOICE「フィールダースチョイス」(野手選択)
フェアゴロを扱った野手が一塁で打者走者をアウトにする代わりに、先行走者をアウトにしようと他の塁へ送球する行為をいう。
(a)省略
(b)ある走者が、盗塁や失策によらないで、他の走者をアウトにしようとする野手の他の塁への送球を利して進塁した場合
(c)省略30 FORCE PLAY「フォースプレイ」──打者が走者となったために、塁上の走者が、規則によって、その塁の占有権を失ったことが原因となって生じるプレイである。(5.09b6)
公認野球規則
【注】 次の原注に述べられているフォースプレイによるアウト、すなわちフォースアウト(封殺)と得点との関係は、5.08に明示されている。
ポイントは「打球を扱った(フェアゴロを扱った)」の解釈。以下の2つの例を考えてみよう。
例1:無死走者三塁・ショートへのゴロ。走者は最初スタートを切っていなかったが、ショートが一塁へ送球するタイミングでスタートを切った。
一塁アウトのタイミングだったが、ファーストは三塁走者をアウトにするため送球を前でカット(ベースから離れた)。本塁へ投げたがオールセーフ
このケースは野手選択(凡打)だろう。ファーストを「打球を扱った(フェアゴロを扱った)」とみなすのは苦しいが、さすがに安打は付けられまい。
かといってファーストの失策でもない。
例2:無死走者三塁・ショートへのゴロで一塁送球したがセーフ。ただし一塁送球間にスタートを切った三塁走者が本塁でアウト。
このケースは内野安打だろう。
走者がいようがいまいが打者走者はセーフになっているはずだからだ。
この2つの例を比較すると、「打者走者がセーフとなった理由」と「先行走者をアウトにしようとする行為」が独立しているかどうかが重要になってくる。
例1は独立していないので凡打。例2は独立しているので安打。
では今回のケースはどうか?
一塁送球はアウトのタイミングなので、一見例1のケースに近いと思うかもしれない。ただし、ファーストは元から一塁ベースに入っていないように見える。
例1のように「先行走者をアウトにしようとするためあえて送球を前でカットした」わけではないわけだ。そうなると一塁セーフは独立したプレイになるわけで、例2のケースに該当する。
よって凡打(野手選択)の記録は間違っている…と言うのが個人的見解。
ファーストのプレイを「緩慢な守備動作」もしくは「判断の誤り」とみるなら安打。「ミスプレイ」とみるなら失策を付けるべきだと思う。
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