14日の巨人横浜戦で、守備妨害を宣告されるプレイがあった。
際どいプレーだった。三回無死一塁でDeNA・ロメロが送りバント。捕手の小林が捕りに行くところ、ロメロが接触した。西本球審はすぐにロメロを守備妨害でアウトにし、一走の山本を一塁に戻した。
DeNA 守備妨害の判定に三浦監督が抗議 バント処理のプレー巡り
この判定にDeNA・三浦大輔監督は「それは違うだろ」と言わんばかりに手を振りながら、ベンチから抗議に出た。だが判定は覆らず1死一塁から再開された。
守備と走塁は基本的には守備優先であるが、打者走者と捕手との接触については例外的に中立であり、基本的にはナッシングが宣告される。
公認野球規則6.01(a)(10)【原注】
2021年度公認野球規則 88P
捕手が打球を処理しようとしているときに、捕手と一塁へ向かう打者走者とが接触した場合は、守備妨害も走塁妨害もなかったものとみなされて、何も宣告されない。
打球を処理しようとしている野手による走塁妨害は、非常に悪質で乱暴な場合にだけ宣告されるべきである。
週ベのルール教室のコラムにも2015年と2018年の2回掲載され、いずれもナッシングが正しいとしている。
なお、当該規則が初めて問題となったのはアメリカで1975年に起きたプレイ。
1975年ワールドシリーズで守備妨害を取らなかった(ナッシング)ことで審判へのバッシングが殺到。球審をFBIが護衛する騒動にもなった…と野球審判員マニュアルに載っている。
NPBにおいてはこの手の接触プレイは近年、いや10年以上守備妨害優先の運用がなされており、時折問題視されている。
追記:高校野球でも守備妨害優先になっているようです。↓のプレイで守備妨害なので…。
古いところでは2009年に守備妨害を取られた日ハムは提訴試合を行った(却下されたが)。
提訴試合に関する審議の請求について
日本ハムの提訴試合却下、審判に誤りなし
今年の7月にもロッテが守備妨害を取られている。
このプレイに対して元ロッテの里崎氏は「捕手と打者走者、どちらの身体が先に入るか」が焦点だと語っている。
ただ、今回のロメロのバントや2015年炭谷のバントは打者走者が先に身体を入れているように見えるため里崎氏の意見が正しいかどうかは微妙なところである。
過去の守備妨害動画
こういったときによく参考にする書籍の野球審判員マニュアルには以下の通り記載されている。
いわゆる”出会い頭”の接触で、これはほとんど本塁の直前の、ごく狭い範囲に限られ、審判員の一瞬の判断だが、”ナッシング”(球審は、両手を広げ、”出会い頭で妨害はなかったよ”という意味で”ナッシング”)のジェスチャーを出し、そのままプレイは続けられる。
野球審判員マニュアル第4版 P166
アマチュア審判の個人ブログ(野球審判の道)にはジェスチャーとコール、両方必要と記載されています
「これはほとんど本塁の直前の、ごく狭い範囲に限られ」というのが非常に難しい一文である。個人的にはどのプレイもごく狭い範囲に該当すると思うのだが…。
ごく狭い範囲が一般的にどこまでを指すのかというのはちゃんとした定義を作ってプロアマ統一すべきだと思う。
追記:2022年のプレイ
2022年6月5日のDeNA vs. 楽天戦では守備妨害が宣告されない(ナッシング)プレイがあった。
DeNA・嶺井「セルフジャッジ」失点まねく 守備妨害主張しプレー止めるも認められず
一番悪いのはプレイを止めて一塁にも送球しなかった嶺井。これは間違いない。
正直ギリギリ接触したかどうかだし(スポニチは接触したと書いている)、プレイの大きな妨げになっていないのでナッシングの判定で妥当だと思う。
ただ、球審も100点のジャッジをしたとは言えない。フェアのジェスチャーしかしておらず、ナッシングのジェスチャーをしていない。
もしかしたら接触していないと判断したのかもしれないが、嶺井が守備妨害をアピールした段階でも良いのでジェスチャー(とコール)を入れるべきだったと思う。
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