2022年のNPBは何度もノーノーや完全試合が達成されるなど、超投高打低となっている。ファンの間では早い段階で「飛ばないボール」ではないかとささやかれていたが、西武・山川が飛ばないと断言したことで一気に信ぴょう性が増す形となった。
それを受けて…かはわからないが、山川の発言から数日後、NPBの井原敦事務局長が「ボールの反発係数は規定値内」と発言した。
日本野球機構(NPB)の井原敦事務局長は20日、今季の統一試合球の反発係数について「全て規定値内で報告が上がっています。12球団にも検査結果については報告しています。その時、その時の数字だが、規定値の中間あたりの数字です。規定値から外れたボールは使用できません」と明言した。
規格検査については、各球場での納品後の抜き打ち検査から、月1回の日本車両検査協会での納品前検査に改定。その際の反発係数は、従来と同じ「0・4034~0・4234」の上下限を適用している。
統一球は昨年より飛ばない?西武山川「飛ばない。間違いない」…NPB明言「規定内」 [2022年6月20日16時28分]
こんかいは反発係数の上下限・目標値について当時の記事を確認していく。
何のために統一球上下限を撤廃したのか?
統一球の反発係数基準値は2011‐2013年が「0.4134 – 0.4374」、2014年が「0.4034 – 0.4234」だった。
ただ、基準を下回ったり上回ったりして飛ばないボール/飛ぶボールという表現が横行。選手が正当に評価されない事態にも陥っていた(60本塁打のバレンティンなどが典型)。
恐らくそういった事情も勘案して選手会側から上下限の撤廃を提案、2015年から目標値(0.4134)に改正されたのだろう。
だが結局のところ2015年以降も反発係数0.4034 – 0.4234を満たさないボールは使用不可としているわけで、これなら何も変わらないのではないか?
日本野球機構(NPB)は3日、両リーグアグリーメント内の統一球に関する規則を1日付で改正したと発表した。ボールの反発係数基準を「0・4034~0・4234」の範囲明記から「0・4134を目標値とする」に変更。規格検査を各球場納品後の抜き打ちから、毎月1回の納品前に改定した。納品前の日本車両検査協会での反発係数検査には従来と同じく「0・4034~0・4234」の上下限が適用される。
井原敦事務局長は「納品前の検査で品質と安定供給を確保できる。(反発係数を目標値に変更した点は)検査で範囲を外れたものは不適格となるので、違反球そのものがなくなる。幅を記載しなくても品質の確認をしていく」と説明。NPBは基準外の球使用が発覚した昨年4月から、納品前検査を実施しており、この運用に即した変更となった。選手会からは、反発係数の許容幅が狭いことが混乱を招く一因との指摘を受け、上限と下限を定める規定を見直すよう要望されていた。
統一球反発基準が範囲→目標値設定に変更 [2015年2月4日7時35分 紙面から]
メーカーをはじめ、関係者が口をそろえたのが「ボールはナマモノ。品質管理は難しい」という言葉だった。狭い数値内に収めるのは至難の業で、もともと基準値を定めるのには無理があった。
第65回 統一球の基準を緩和――世界で評価が高い高品質を誇るボール 2015年2月21日
「数字で自らを縛るから問題が起きる」という日本プロ野球選手会(嶋基宏会長=楽天)の後押しも手伝い、係数の要件緩和につながった。
2015年から反発係数の検査結果を非公表に
2014年までNPBのHPで定期的に反発係数の検査結果を公表していたが、何のアナウンスもなく2015年から廃止。
反発係数を非公表にするために上下限を撤廃した、と疑われても仕方がないと個人的には思う。
違反球問題でNPBは信頼を失っているわけで、今回の発言も正直うのみにはできない。2015年から2022年の検査結果をすべて公表して少しでも信頼を取り戻してほしい。
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