この記事は「まんがタイムきらら Advent Calendar 2021」の9日目の記事になります。
星屑テレパスのすごさについていつかまとめようと思いつつまとめられていなかったので、いいきっかけになりました。
4コマ漫画のコマ枠やコマ割り、意識したことありますか?
大半の人は意識したことがないでしょう。自分も最近まで意識したことがなかったです。だって決まった枠で書くのが4コマのセオリーだもの。
そんな常識を打ち破ったのが大熊らすこの『星屑テレパス』。基本的に4コマ漫画は書き込み量が多すぎるとゴチャゴチャしてしまうのだが(コマ割りが固定なので)、この漫画は書き込み量が多いのにゴチャゴチャした感じがない。
何度も読み返して、ようやくコマ枠(コマ割り)の上手さが理由だとわかった。ということで工夫されたコマ枠の数々を見ていきましょう。
トーンによる疑似コマ枠
網トーン?による疑似的なコマ枠。ゆるい感じになっていいアクセント。
ドットコマ枠
これもゆるい感じに。このコマ枠は頻繁に使われているので印象に残っている人も多いかもしれない。
横に並べてみるとドットの数が違ってこのコマ枠が何種類もあることがわかる(手書き?)。
手書きコマ枠①(へにょへにょ)
4コマ目のオチで使われがち。こちらも緩急の緩の表現。
手書きコマ枠②
海果が勇気を出しておでこぱしーする直前のシーン。申し訳ない気持ちや一歩を踏み出す不安などを手書きの直線ではないコマ枠で表現している。
細コマ枠
海果に使われがちだが、他のキャラにも使われている。該当コマを目立たせるために使っている…のかな?このコマ枠の意図は読み手の能力不足でちょっとわからない。
変則ぶち抜き
ぶち抜きという表現で合っているのかどうか…。多分違うと思う。
左のシーンは2コマ目のコマ枠を残しつつ、背景を2コマ目に変則的に食い込ませている。非常に珍しい空間の使い方。
右のシーンは海果を左にずらすことにより、瞬のセリフと海果の双方を際立たせている。星屑テレパスは2コマ目や3コマ目のコマ枠を取っ払って該当部分を際立たせるのが非常に上手い(一般的には余白がある1コマ目や4コマ目のコマ枠を取っ払うことが多い)。
・コマ枠を使った光の表現
コマ枠の右上部分が光に照らされたようにかすんでいる。セリフや絵の密度的にはコマ枠を消す(かすませる)必要はないのだが、「先生から見たキラキラした高校生」を表現している。天才か?
「線」として使われるコマ枠
ここの2コマ目は別にコマ枠がなくても良いはずなのだが、あえて残している。下枠を胸の部分に合わせることで遥乃の”心”の迷いを視覚的に表現していると思われる。
個人的に一番すごいと思ったのがこのシーン。1コマ目のコマ枠を消すことにより、1コマ目と2コマ目の上枠で”壁”を表現している。引っ込み思案で一歩を踏み出す勇気が出ない海果が壁の前に立ちすくんている姿が見える。天才だな(確信)。
ここに挙げているのはほんの一例で、星屑テレパスのコマ枠(コマ割り)は非常に多岐に及んでいます。何度読んでも新しい発見があるので、この機会に読み直してみてはいかがでしょうか。
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