八番相撲で休場は消滅しない方針に変更か?-令和3年春場所竜勢の例から考える

大相撲の幕下以下力士は一場所7番相撲を取る。ただし、力士が休場によっては人数合わせとして例外的に8番目の相撲を取ってもらうことがあり、これを八番相撲と呼ぶ。

八番相撲自体はそんなに珍しいものではないのだが、件の竜勢は途中休場によって1休がある力士。休場を含む八番相撲はさすがに珍しいらしく、幕下では過去一例しかないようである。

Wikipedia-八番相撲
銀河大角力協会-幕下力士の八番相撲?!

過去唯一の例は平成10年九州場所の豊桜(西幕下筆頭)。「1勝3敗3休」だったのが八番相撲が終わり「2勝3敗2休」になったらしい。休場が一つ消え見かけ上は八番相撲ではなくなった。
今回の竜勢は八番相撲前で「1勝5敗1休」。八番相撲により休が消えるかと思われたがどうやら「1勝6敗1休」が正式記録らしい。

何故今回は休が消えなかったのか。調べてみると平成中期に八番相撲の取り扱いが変わっているのが理由だと推測できる。

大相撲データアナリストの大相撲日記-■384 「八番相撲」を読み解く

昔は「2勝5敗」から八番相撲で勝利した場合、「3勝4敗(1点の負け越し)」扱いで番付編成されていた。しかし平成13年7月場所以降、「3勝5敗(2点の負け越し)」扱いになったようだ。
今回の竜勢は八番相撲に敗れたため「1勝6敗1休」だろうが「1勝6敗」だろうがおなじ5点の負け越しとして計算される(負け得)だろう。
ただ、勝っていた場合は「2勝5敗1休(4点の負け越し)」と「2勝5敗(3点の負け越し)」で計算が変わってくる。この事情を勘案して休を消さない方針に変えたものと思われる。休が消えるのは感覚的に気持ち悪いので個人的にこの変更は歓迎。
ただWikipediaを読む限り序の口は変わらず休が消えているようなので運用を統一して欲しいところ。序の口は勝ち越し負け越しの点数というより勝利数で上げ下げを決めている印象なので休を消しても影響が小さいのかもしれないが…。

Wikipediaに2015年11月場所北薩摩の休場が八番相撲によって消えていると書かれているが、おそらくこれは誤り。公式の戦歴は169勝191敗104休。
一方、一番有名な相撲系個人サイト大相撲レファレンスの戦歴は169勝191敗102休。休の差が2つある。
北薩摩は平成27年11月と平成30年5月に「再出場に伴う八番相撲」を13日と14日に取っている。この2休の星取表を公式で確認したところ、「1勝1敗6休」と「2勝0敗6休」であり休の消滅は確認できない。大相撲レファレンスの仕様かなにかで休が消えた(ように見える)のが真相か。

…とまとめようと思ったのだが気になる点が一つ。有名な個人サイトは大相撲レファレンスのほかに大相撲.jpもあるのだが、こちらの戦歴は169勝191敗103休。平成27年11月は「1勝1敗5休」、平成30年5月は「2勝0敗6休」となっている。片方だけ間違えるというのは不自然。
もしかしたら平成27年11月は公式で一旦「1勝1敗5休」にしたけど「1勝1敗6休」にサイレント修正した?

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