阿炎は来場所三段目まで落とされるのか?

令和3年1月場所の番付が発表され、出場停止中の阿炎が幕下16枚目となり番付予想界隈では地味に話題となった(阿炎以外も謎編成だったので話題になっていたが、それは後日)。

  • 十両から1場所で復帰不可能な番付への降格

幕下は15枚目以内で7戦全勝した場合十両へ昇進するという内規がある。番付予想界隈では、十両から陥落する場合1場所で復帰可能な15枚目以内にされるのではないかという雰囲気があった。
前例がなかったわけではなく、近年では騏乃嵐(平成3年初場所東十両13枚目0勝8敗7休→東幕下21枚目)が16枚目以下に落とされている。騏乃嵐がなぜここまで理不尽に落とされたかは不明。
ここ10年の0勝力士を見ると、十両尻(西14枚目)で全休した平成25年11月場所の栃ノ心が翌場所西幕下15枚目に編成されている。0勝15敗の珍記録を作った令和2年秋場所の王輝は、東十両13枚目→東幕下13枚目。
また、今回は東十両14枚目の富士東が0勝15敗。誰もが阿炎より番付が下になると思っていたが、阿炎より番付が上の東幕下13枚目に編成されたことで不自然さが強調されてしまった。

  • 全休と0勝(全休以外)で差をつけたのか?

幕下以下の場合、全休と0勝(全休以外)では番付の降下幅に差がある。幕下だと全休は40枚降下、0勝(全休以外)は35枚降下となる。ただし関取についてこの法則が適用されるケースはおそらくない。
例えば平成24年春場所は全休力士と0勝力士がいて、阿夢露(東十両3枚目全休→東幕下3枚目)、剣武(西十両8枚目0勝7敗8休→東幕下8枚目)になった。
全休力士と0勝力士で差は付けていない(細かく言うと半枚剣武が降下幅が小さいが、これは他力士との兼ね合いだろう)。
「番付は生き物」なのでルールが変わったのかもしれないが…。

  • 減給の代わりに番付を余分に落とした?

阿炎の処分は3場所の出場停止と50%の減給5か月である。減給が5か月なのは6か月目以降は幕下に陥落し、給与が出ないことがわかっていたからだろう。一応幕下でも手当は出るが金額が低く、そもそも減給できる類の給料なのかどうかも不明。
ちなみに幕内・石浦と幕下・宝香鵬が喧嘩した際、石浦は減給とけん責だったが宝香鵬はけん責のみだった。給料を減らせなくなったので番付を余分に落とした…というのが個人的には一番しっくりくる。

  • 阿炎は来場所三段目に落ちるのか?

通常通りの番付編成なら全休の阿炎は40枚番付が降下し、春場所は西幕下56枚目前後に編成されることとなる。しかし今回の懲罰?編成があったために番付予想界隈では三段目まで落とされるのではないかという意見も出ている。が、個人的な予想としては阿炎は三段目までは落ちないと考える。

・全勝しても幕下56枚目から幕下5枚目以内には基本的に上がれない
十両昇進(復帰)に向けて重要なのは幕下15枚目以内に入ること及び幕下5枚目以内に入ることである。平成以降で幕下50~60枚目で全焼した力士の番付を確認すると最も下位から5枚目以内に上がったのは平成10年夏場所の土橋で、東幕下53枚目→西幕下5枚目。不運な例だと幕下46枚目でも幕下6枚目に据え置かれた例もある(平成21年9月場所魁聖、西幕下46枚目→西幕下6枚目)。幕下56枚目の阿炎は絶望的だろう。

・三段目上位でも全勝すれば幕下15枚目以内に上がれる
今回、東三段目21枚目の北青嶋が西幕下15枚目に滑り込んだように、三段目20枚目前後(近年の傾向だと23枚目あたりがボーダー)でも全勝すれば幕下15枚目以内に上がれる。

つまり、幕下56枚目(40枚降下)だろうが三段目筆頭(45枚降下)だろうが三段目16枚目(60枚降下)だろうが2場所連続全勝を前提とすれば変わらないのである(3月場所全勝→幕下6~15枚目で5月場所全勝→7月場所関取復帰)。
当然三段目の方が全勝しやすいので、阿炎にとっては三段目に懲罰降格された方がむしろありがたいことになる。
よって通常通りの幕下56枚目か幕下尻の60枚目になるのでは?と思う。まあ、そもそも今回の番付編成が意味不明なので阿炎の損得など考えずに仕事した感を出して三段目に落としても驚きはしないが…。

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