大栄翔を関脇に上げなかったせいで起こりうる番付編成上の大問題

大相撲

初場所西筆頭で13勝を挙げ優勝した大栄翔。番付予想をしているほとんどの人が大栄翔を関脇に予想していた結果はまさかの小結(西小結2)。非常に違和感のある番付だが、来場所の番付編成にも大きな影響を与える可能性がある。大栄翔が勝ち越した場合を3通りに分けて考える。

まず大栄翔が11勝以上した場合。近年張出関脇(3人目以降の関脇)を作る基準は小結11勝以上となっている。そのため大栄翔が11勝以上すれば関脇の枠が空かなくても慣習通り関脇を増やすことができる。

次に大栄翔が8勝だった場合。直近2場所が13優(前1)-8勝(小結)となり、夏場所大関取りというには少々苦しい星勘定となる(夏場所優勝でもすれば可能性はあるだろうが…)。基本的には大関取りは出直しという形となり、関脇に上げなくても問題ないだろう。

問題なのは大栄翔が9~10勝を挙げた場合。
13優(前1)-10勝(小結)は確実に来場所大関取りだろう。
13優(前1)-9勝(小結)も夏場所高い条件が求められるとはいえ大関取りの話は出るだろう。


その際に悩ましいのが大栄翔を関脇に上げる(上げられる)のかということである。「小結から大関」に上げてはいけないというルールはないが、最後に小結から大関に昇進したのは昭和13年の前田山。基本的には※小結から大関には上げたくないだろう。

※平成3年の琴錦は秋場所前頭5枚目で優勝、翌九州場所も小結で優勝争いをしたため連続優勝なら大関の可能性が言及されていたらしい(結局連続優勝せず)。連続優勝が絡まない大栄翔とは少々事情が異なる。

かといって簡単に関脇に上げられるとは限らない。最悪なのが以下のケースだ。

成績西成績
負け越し貴景勝大関
8勝照ノ富士関脇隆の勝勝ち越し
10勝髙安小結御嶽海10勝
小結大栄翔9~10勝

この場合貴景勝が大関から関脇へ陥落、大関取りの照ノ富士は大関に上がれないため3関脇は確定する。残る3小結だが、前述の通り本来小結10勝以下は関脇の増員を行わない。しかし来場所大関取りとなる大栄翔は関脇に上げたい。上げたいのだが、大栄翔より番付が上の髙安と御嶽海が同じ星(または1勝上)を挙げている以上大栄翔だけ関脇に上げるのも不自然である。
そのため、「3小結全員上げて6関脇」「大栄翔は小結のまま大関取り」の2択を迫られてしまう。さすがにこの星取になる可能性は低いだろうが、”隆の勝が勝ち越し かつ 大栄翔が9~10勝 かつ 髙安or御嶽海が10勝”という可能性は十分にあるだろう。この場合も「小結9~10勝で関脇増員」「大栄翔は小結のまま大関取り」の2択となり、番付編成上非常に困るだろう。

これらの番付編成上の苦悩は大栄翔を関脇に上げておけば全て起きなかった。先を見据えて番付を組んでほしい。

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